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相続財産が自宅不動産しかありません。また同居している長女にその家を残してあげたいと考えています。娘が将来この家を引き継げるようにできますか?

2021.09.21

死亡により相続が開始されると、原則として、相続財産について、各相続人が相続分に応じて共有することとなります。

相続人も長女のみである場合には、長女がすべてを相続することになるため、長女に自宅不動産を引き継ぐことができますが、他に相続人がいる場合には、長女に自宅不動産を残したい場合には遺言を作成する必要があります。また、遺言を残す際には、他の相続人の「遺留分」に配慮することも必要です。

「遺留分」とは、被相続人による財産処分の自由と相続人の生活の安定・財産の公平な分配の調整という見地から定められた制度で、被相続人の配偶者、子(代襲者を含む)、直系尊属は、被相続人の財産のうち、一定の割合が「遺留分」として保障されています(民1028条)。したがって、唯一の相続財産である自宅不動産をすべて長女に遺贈等する場合、長女は他の相続人から遺留分減殺請求権を行使される可能性があります。

遺留分減殺請求権が行使されると、遺留分を侵害する遺贈等は、侵害の限度で効力を失います。したがって、自宅不動産の価値が2000万円、相続人が長女と長男のみの場合、長男の遺留分割合は、1/8(各遺留分権利者の「個別的遺留分」は、遺留分権利者全体に残されるべき遺産である「総体的遺留分」に法定相続の割合を乗じたものとなるため、「総体的遺留分」1/2×「法定相続割合」1/2×1/2=1/8)となりますので、長男の遺留分に配慮することなく長女に唯一の相続財産である自宅不動産を遺贈等すると、長男は、自己の遺留分が侵害されたとして、長女に遺留分侵害額250万円の範囲で遺留分減殺請求を行う可能性があります。

減殺請求権が行使された場合、遺留分減殺請求の相手方は、現物を返還することが原則ですが、価格弁償することも可能です(民1041条)。したがって、長女に250万円を弁償する資力があれば長女が単独で自宅不動産を引き継ぐことが可能です。しかし、長女に弁済の資力が無い場合には、自宅不動産は長女と長男の共有となってしまします。

遺留分減殺請求の行使は、各遺留分権利者の自由意思に委ねられているため、長男が遺留分減殺請求権を行使しない場合には特段の問題は生じませんが、上記のような事態を未然に防止するためには、家庭裁判所の許可を得て、生前に長男に遺留分を放棄させておくこと(民法1043条1項)や、長女の資力を確認しておくことが必要となるでしょう。

なお、受取人が指定された生命保険金(死亡保険金)は、固有財産となり、相続財産とはなりませんので、長女に遺留分相当額を支払う資力がない場合には、長女を受取人とした生命保険契約を締結しておくことも有用です。

この記事を担当した弁護士
弁護士法人かばしま法律事務所 パートナー弁護士 大野 智恵美
保有資格
専門分野相続
経歴福岡県直方市出身
熊本大学法学部卒業
西南学院大学法科大学院
司法試験合格
弁護士登録(福岡県弁護士会)
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