遺言代用信託の活用

一般的な遺言

遺言を行えば、遺言者は、自身の死後における自身の財産の処分方法について一定程度決定することができます。しかし、一般的な遺言でできることは、自身の財産のうち、何を、誰に渡すかということにとどまります。

_TER2925.JPG   相続した財産を、相続人がどのように使うか、どのように処分するかまで限定することはできません。
もっとも、自分が築き上げてきた財産を、相続人がどう使っていくかというのは、被相続人にとって非常に関心の高い部分です。

それを、「遺言代用信託」という制度を利用することで実現しえます。なお、銀行で、遺言書の作成・保管等の事業を遺言信託とよぶこともありますが、これとは全く異なるものです。

遺言代用信託は、信託契約の一種で、財産を管理する受託者と、当該財産から利
益を得る受益者を決めることで締結できます。

具体例

①先祖代々の不動産を今後も順次承継させたい場合

先祖代々承継してきた土地と家を、自身の生前は自身が、自身の死後は長男が、その長男の死後は長男の子が、その次は孫が・・・、というように使っていってもらいたい場合、受託者を長男、第一次受益者を自分、第二次受益者を長男、第三次受益者を長男の子として、遺言代用信託の契約を締結します。これにより、長男、長男の子は、順次、土地と家を承継させていくことができます。
 

②精神障害のある配偶者の生活を支えたい場合

精神障害をかかえる妻を、自身が有するマンションの賃料収入でこれまで介護してきたが、自身の死後も賃料収入で介護していきたいと思っており、それを長男に頼みたい場合は、長男を受託者、妻を第一次受益者に指定し、妻が死亡した場合は長男を第二次受益者に指定します。その上で、信託目的をマンションの管理運用することとし、収益費用を介護費用に充てることとして、遺言代用信託の契約を締結します。

この場合、夫が老齢により判断能力が無くなっても、夫が死亡したとしても、従前通り長男が管理運用を続け、介護費用に充てることができます。夫の死後は、妻が相続しますが、妻が重度の精神障害をもっていれば十分な活用は期待できません。この場合、成年後見制度の利用も考えられますが、成年後見人は被後見人の財産の管理が主たる業務であるため、円滑な運用を期待できない可能性があります。それに比べて、遺言代用信託を用いれば、長男に財産管理を任せ、なおかつ、その収益を妻の介護費用に充てることができます。
 

注意点

ここで紹介した以外にも、遺言代用信託にはさまざまな活用方法があります。もっとも、このように様々なメリットのある遺言代用信託ですが、一般的な遺言は新しく作ったものが優先されるため、比較的更新が容易であるのに対し、遺言代用信託はあくまで契約であるため、一度締結すると容易には内容を変更できないという点などデメリットもありますので、ご注意ください。
 

当事務所にご相談いただいた場合のサポート内容

①要望に沿った信託契約の設計・コンサルティング
②信託契約書の作成
➂信託契約後のメンテナンス・アドバイス

家族信託についての弁護士費用

信託財産の評価額 手続き手数料
1億円以下の場合 信託財産の1%(3000万円以下の場合は、最低額30万円)
1億円超~3億円以下の場合 信託財産の0.5%+50万円
3億円超~5億円以下の場合 信託財産の0.3%+110万円
5億円超~10億円以下の場合 信託財産の0.2%+160万円
10億円超の場合 信託財産の0.1%+260万円

上記以外にかかる可能性のある費用

(1)信託契約書を公正証書にする場合
⇒公証役場に対して支払う手数料等がかかります。
(2)信託財産に不動産がある場合
⇒登録免許税及び司法書士に対する費用
(3)信託監督人(受益者のために信託事務が適切に処理されているかを監督する立場の者)を置く場合
⇒信託監督人に対する費用(月額1万円~)

モデルケース

信託財産が預貯金と不動産のみの場合(信託財産が4000万円の場合)
①信託契約のコンサルティング費用・信託契約書作成費用
40万円(信託財産額の1%)
②公証人に対する手数料
2万9000円(令和元年9月時点)
➂不動産の登記費用(固定資産評価額を1500万円と過程)
司法書士費用10万円(税別)+登録免許税6万円
④合計 
58万9000円(税別)+実費
 

生前対策・相続トラブルQ&A

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