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行政書士会で相続法改正の講義を行いました!

2021.09.21

先日当事務所の弁護士泊が行政書士会で相続法改正の講義を行いました。
当日のレジュメをここでご紹介させていただきます。

相続法改正重点講義

2018年11月22日  弁護士法人かばしま法律事務所 弁護士 泊祐樹

第1 改正の概要

1 はじめに

・昭和55年以来の大改正
・施行は、もっとも早い箇所(遺言書の方式緩和)で、2019年1月13日から。

2 改正のポイント

改正は大きく①遺産分割に関する改正、②相続の効力に関する改正、③遺言制度の改正、④配偶者の住居の権利の保護、⑤遺留分制度の改正、⑥特別の寄与の制度の見直しの6つ。

第2 遺産分割に関する改正

1 婚姻期間20年以上の夫婦による居住用不動産の贈与・遺贈(903条4項)

→持ち戻し免除の意思表示をしたものと推定されることとなった(配偶者保護)。

2 分割前の処分不動産を遺産とみなす(906条の2)

→第三者や法定相続人による遺産の処分がなされても、法定相続人全員の同意によって、処分された財産が遺産として存在するものとみなすことができることとなった。

3 遺産の一部分割(907条)

→全部分割に先行して一部資産のみの分割を実施する必要がある場合に、共同相続人の利益を害するおそれがない場合には一部分割を行うことができる旨、明文化された。

4 預貯金の仮払い制度(909条の2)

→遺産分割未了の状況でも遺産に属する預貯金債権の相続開始時の債権額の3分の1に当該相続人の相続分を乗じた額については、預貯金からの仮払いが認められることとなった。
※標準的な当面の必要生活費、平均的な葬式の費用の額(法務省令:150万円)その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。

第3 相続の効力に関する改正

1 法定相続分を超える部分の対抗要件

→判例(最判平成14年6月10日)は登記なくして権利取得を第三者に対抗できるとしていたが、取引の安全を確保するため、対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないこととした。

2 相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使

→債権者は、相続分の指定があったとしても、法定相続分に応じて権利行使ができる。

第4 遺言制度の改正

1 自筆証書遺言の方式緩和(968条2,3項)

→遺産目録の添付書類については、自書でなくてもよい、ということとなった。
もっとも、目録のすべての頁に、署名押印は必要。

2 自筆証書遺言遺言保管制度(法務局における遺言書の保管等に関する法律)

→遺言者は法務局に対し、自筆証書遺言を無封の状態で保管の申請を行うことができ(4条)、保管管理官による形式面の診査が行われた上で、画像データとして保管(6,7条)。
→家庭裁判所の検認は不要となる。

3 遺贈義務者の引渡義務(998条)

→遺贈義務者は、相続開始時の状態で引渡し又は移転する義務を負う。

4 遺言執行者の権限の明確化(1012条等)

→遺言執行者の権限・責務の内容が不明確であったため、これを明確化

第5 配偶者の居住の権利の保護

1 配偶者短期居住権(1037条以下)

→相続開始時に被相続人名義の建物に無償で居住していた配偶者を保護するための権利を法定化。
【特徴】
①期間は遺産分割により居住建物の帰属が確定した日か相続開始から6ヶ月間のどちらか遅い時期、又は相続・遺贈により居住建物を取得した者からの短期居住権消滅の意思表示から6ヶ月間、
②法定使用貸借権、
③配偶者は従前の用法に従い、使用について善管注意義務を負う、
④第三者の使用には居住建物取得者の同意が必要、
⑤配偶者短期居住権が消滅した場合は配偶者が共有持分を有する場合を除き、返還義務を負う、
⑥相続開始後に附属させたものにつき収去義務を負う、
⑦譲渡不可、
⑧配偶者は必要な修繕を行うことができる、
⑨配偶者は通常の必要費を負担する、
⑩配偶者において相続欠格事由があったり廃除されたりした場合は認められない。

2 配偶者居住権(1028条以下)

→さらに配偶者の居住権を手厚く保障
【特徴】
①相続開始時に居住していることが要件、
②遺産分割協議、遺言による定め、家庭裁判所による審判(居住建物の所有者が受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき)によって、配偶者に対して付与される権利、
③期間は特段の定めがない限り終身、
④配偶者居住権の登記請求ができ、登記により対抗力を有する、
⑤従前の用法に従い、使用収益において善管注意義務を負う、
⑥居住建物の所有者の承諾を得なければ、改築や増築、第三者に使用収益させることはできない、(短期居住権の⑤⑥⑦⑧⑨については配偶者居住権も同様)

第6 遺留分制度の改正

今まで(遺留分減殺請求権)は、遺留分を侵害されている場合でも、どの遺産を取得するかは協議によるものとされ、協議が整わなければ共有であることを前提として共有物分割請求を行わざる得ないことが多かった。改正後は、遺留分の侵害額についての金銭請求権のみを取得することになったため、迅速な紛争解決が見込まれることとなった。
また、時間的範囲について、相続人に対する贈与について、相続開始前10年に限ることを明らかにした(1044条)。

第7 特別の寄与の制度

相続人以外の者(親族に限る)にも寄与分の請求を認める(特別寄与料。嫁の救済、介護の促進)                   
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