先日、父が亡くなりました。父は生前、多額の負債を抱えていました。父の相続人は、母と私と弟の三人ですが、負債を返済するだけの資力はありません。どうすれば良いでしょうか。
 

 被相続人である父にどのくらいの財産があるのか調査し、負債がプラスの財産を上回るかどうか把握する必要があります。その上で、債務超過であることが判明した場合は、①相続放棄をして、お父さんの残した財産を借金も含めて一切相続しないという方法をとるか、②相続人全員で限定承認を行い、お父さんの残した財産の範囲内で借金を返済していくという方法をとる必要があります。
 相続放棄の場合も限定承認の場合も、原則として、相続人が被相続人の死亡の事実及び、これによって自分が法律上相続人となった事実を知った時から3か月以内に手続きを行わなければならないので注意が必要です。
 また、相続人が相続財産の全部又は一部を「処分」したときは、相続放棄や限定承認ができなくなってしまいます。なお、裁判例上、相続財産から葬儀費用を支出する行為は「処分」には含まれません。どのような行為が「処分」にあたるのかについては、弁護士に相談に行き、個別具体的にアドバイスを貰うことをおすすめします。
 
 相続放棄をすると、相続人ではなくなります。しかし、民法上、相続放棄をした人は、「自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」とされています(民法940条1項)。そのため、相続放棄をした人は、例えば家屋が老朽化して倒壊する危険があるような場合は、補強工事をしなければなりません。全員が相続放棄をしてしまい、誰も相続人がいなくなった場合、相続放棄をした人は管理義務を負い続けることとなります。この管理義務を免れるには、裁判所に対して、相続財産管理人の選任を申し立てるという方法があります。相続財産管理人が選任されると、相続財産の管理責任は相続財産管理人に引き継がれますので、相続放棄をした人は相続財産に対する管理義務から解放されることになります。ただし、ケースによっては、裁判所に納める予納金が100万円程になることもあります。
 相続放棄や限定承認をすべきかどうかは、難しい判断になることもありますので、お早めに弁護士に相談をしましょう。